片頭痛の治療と予防

片頭痛の予防

 

監修:埼玉精神神経センター /
埼玉国際頭痛センター長 坂井 文彦 先生

片頭痛が月に何度も起こる場合や、頭痛の程度がひどい場合には予防療法を行うことがあります。予防療法では、発作が起こりにくくなるように予防薬を毎日服用します。また、片頭痛の予防には薬だけでなく、日常生活のなかで誘因を避けるセルフケアも大切です。

片頭痛の予防薬

片頭痛の予防療法は、片頭痛発作が月に2回以上(あるいは月に6日以上)ある場合、また、急性期治療薬だけでは日常生活に支障が残る場合などに勧められます1)。頭痛発作の回数を減らしたり、発作時の痛みの程度を軽くすることが期待されます。
予防薬として効果が期待できる薬はいくつかあり、患者さんが持っている片頭痛以外の病気などを考慮しながら、医師がどの薬を使用するか判断します。

予防薬の効果があるかどうかの判断には少なくとも2ヵ月はかかります2)。 頭痛症状に変わりがないからと自己判断により途中でやめたりせず、指示通り毎日飲み続けましょう。
通常3~6ヵ月は予防療法を継続し、片頭痛発作の回数や程度が軽くなり効果がみられたら、医師と相談の上、徐々に減らしていき、可能であれば中止します2)

日常生活のセルフケア

日常生活においては、頭痛の誘因を避けることが大切です。片頭痛は、過労やストレスによって起こりやすくなります。とくに、責任の重い仕事をこなした後や大きな悩みから解放された後など、それまで過度の緊張で収縮していた血管が拡張し、頭痛発作が起こるケースが多いようです。できれば日頃からストレスをため込まないようにすることが大切です。また、空腹や寝不足、寝過ぎも、片頭痛が起こりやすくなります。休日も朝寝坊せず、規則正しい生活を送ることを心がけましょう。
まぶしい場所や騒音でも、片頭痛が誘発されることがあります。日ざしの強いところではサングラスをかけ、混雑時を避けて外出するといったように、光や音、においなどの刺激をできるだけ回避することが望ましいでしょう。

1日2分の頭痛体操3)

頭痛体操は片頭痛の予防(頻度を減らす)や緊張型頭痛の緩和(痛みの軽減)に効果があるといわれています。
片頭痛では首の後ろに圧痛点が生じ、それが続くとますます片頭痛が起こりやすくなります。この圧痛点を体操でストレッチすると痛みを調節する脳内の神経回路に良い刺激が送られ、片頭痛の頻度が低減されます。また、緊張型頭痛は、身体的・精神的ストレスから首や肩の筋肉が持続的に緊張して、こり固まったような状態(首こり・肩こり)となり、頭痛が起こりますが、この筋肉の緊張をほぐすのにも頭痛体操は有効です。

  1. ①片頭痛予防体操:後頸筋の圧痛点をストレッチ
    「腕をふる体操」 2分間行う

    足を肩幅に開き、正面を向き、頭は動かさず、両手を胸の高さで保ち、水平に腕を振って両肩を大きく回す。頸椎を軸として肩を左右に90度まで回転させて戻します。頭と首を支えている筋肉(インナーマッスル)と片頭痛圧痛点をストレッチすることで、脳に良い信号を送り、片頭痛を予防しましょう。

    イメージ図 後頸筋2を伸ばす「腕をふる体操」 2分間行う

  2. イスに座ったままでもOK!オフィスでもできる後頸筋の圧痛点のストレッチ

    椅子に腰掛け、顔を正面に向けたまま左右の肩を交互に前に突き出すように体を回します。足は閉じても少し開いてもどちらでもいいです。

    椅子に腰掛け、顔を正面に向けたまま左右の肩を交互に前に突き出すように体を回します。足は閉じても少し開いてもどちらでもいいです。

  3. ②僧帽筋、大胸筋を伸ばす
    「肩を回す体操」 6回繰り返す

    両肘を軽く曲げた位置から肩を中心に肘を前後に大きく回します。内側(前)に回すときはリュックサックを背負うような感覚で、外側(後ろ)に回すときは洋服を脱ぐような感覚で。

    イメージ図 僧帽筋を伸ばす「肩を回す体操」 6回繰り返す

監修:埼玉精神神経センター / 埼玉国際頭痛センター長 坂井 文彦 先生

  • 1)日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:70, 2014
  • 2)日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:74, 2014
  • 3)坂井 文彦:「片頭痛」からの卒業 講談社現代新書:148, 2018