片頭痛の治療と予防

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)って?

 

監修:富士通クリニック 内科 頭痛外来 /
北里大学医学部 客員教授 五十嵐 久佳 先生

頭が痛いからといって毎日のように頭痛薬を飲んでいると、かえって症状をこじらせることになりかねません1)
頭痛薬を月に10日以上飲み続けている場合には「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」に陥っている可能性があります1)

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)とは1)

もともと片頭痛や緊張型頭痛などの頭痛を持っている人が、頭痛薬の飲み過ぎにより、かえってほぼ毎日頭痛が起こるようになった状態を「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」といいます。市販鎮痛薬の飲み過ぎによるものが多いですが、医師から処方された薬によっても起こります。

次のような症状が当てはまる人は、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の可能性があります。

  • 月に15日以上頭痛がある1)
  • 頭痛薬を月に10日以上飲んでいる1)
  • 朝起きたときから頭痛がする。
  • 以前はよく効いていた頭痛薬が効かなくなってきた。
  • 薬をいくら飲んでも頭痛が以前よりひどくなってきた。
  • 頭痛の程度、痛みの性質、痛む場所が変化することがある。
  • 以前は月に数回、片頭痛が起こっていた。

監修:富士通クリニック 内科 頭痛外来 / 北里大学医学部 客員教授 五十嵐 久佳 先生

「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」の診断基準は、国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3β)の付録によって以下のように定義されています。

8.2 薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛、MOH)の診断基準
  1. A. 以前から頭痛疾患をもつ患者において、頭痛は1ヵ月に15日以上存在する
  2. B. 1種類以上の急性期または対症的頭痛治療薬を3ヵ月を超えて定期的に乱用している
  3. C. ほかに適切なICHD-3の診断がない

日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版 beta版 医学書院:106, 2014

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)はどうやって起こる?2)

ひどい頭痛を経験すると、頭痛発作への不安から鎮痛薬を予防的に服用するようになり、飲む回数や量が増えていきます。すると次第に、脳が痛みに敏感になり、頭痛の回数が増え、薬も効きにくくなってくるという悪循環に陥ってしまうのです。

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監修:富士通クリニック 内科 頭痛外来 / 北里大学医学部 客員教授 五十嵐 久佳 先生

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の治療1)

まずは思い切って原因となっている薬を中止することが治療の原則です。
原因薬剤の中止後、その反動で激しい頭痛(離脱頭痛)や吐き気、嘔吐などが起こることがあるので、予防薬や原因薬剤以外の治療薬で対処します。最初の1~2週間はつらいですが、「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」であれば、毎日のように起こっていた頭痛が減り、もともとの頭痛の症状に戻ることが期待されます。片頭痛などのもともとの頭痛に戻ったら、それに応じた治療を行います。

薬剤の使用過多による頭痛

(薬物乱用頭痛)の治療の原則は主に次の3点です。

  1. 1. 原因薬剤の中止
  2. 2. 薬剤中止後に起こる頭痛への対応
  3. 3. 予防薬の投与

日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:
慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:120, 2014より作表

薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)にならないために1)

「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」は一度なってしまうと比較的再発しやすいので、日頃から頭痛薬を飲み過ぎないことが重要です。
薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)にならないためにも、次のようなことを心がけましょう。

  • 頭痛薬の使用は服用回数を守りましょう。なるべく月に10日未満に1)
  • 市販の鎮痛薬を予防的に飲むのは避けましょう。
  • 主成分が単一の鎮痛薬を選びましょう。
    *主成分が複数配合されているもの、カフェイン(無水カフェイン)が含まれているものには注意しましょう1)
  • ほかに薬を飲んでいる場合は医師に伝えましょう。
  • 頭痛ダイアリー」をつける習慣をつけましょう。

監修:富士通クリニック 内科 頭痛外来 / 北里大学医学部 客員教授 五十嵐 久佳 先生

  • 1)日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:
    慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:120, 2014
  • 2)五十嵐 久佳:日本頭痛学会誌 43(1):30, 2016