片頭痛って?

片頭痛の特徴・分類

 

監修:埼玉精神神経センター /
埼玉国際頭痛センター長 坂井 文彦 先生

片頭痛は日常生活への支障が大きく、頭痛に困って病院を受診する方の多くは片頭痛です。頭痛の種類によって対処法が異なるので、まずは、自分の頭痛がどのようなタイプかを知りましょう。

片頭痛の特徴

片頭痛は、片側あるいは両方のこめかみから目のあたりにかけて、脈を打つように「ズキンズキン」と痛み、体を動かすと頭痛がひどくなることが特徴です。

片頭痛の主な特徴

どんな痛み?
  • ズキンズキンと脈打つような強い痛み
どこが痛む?
  • 頭の片側(ときに両側)
動くと痛い?
  • 動くと痛みが悪化する。ときどき寝込むほど痛むことがある。
頭痛以外にどんな症状がある?
  • ふだんは気にならない程度の光をまぶしく感じたり、音やにおいが気になる。吐き気や嘔吐を伴う
頭痛の前ぶれは?
  • ギザギザした光が見えたり、視野の一部が見えにくくなることがある
頭痛のきっかけは?
  • 精神的ストレス、ホッとした時(忙しさからの解放)、月経、寝過ぎ・寝不足など
頭痛の持続時間は?
  • 4~72時間
どのくらいの頻度で起こるの?
  • ときどき起こる。週2回から月1回程度

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日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版 beta版 医学書院:2, 2014,
日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:
慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:44, 2014より作表

頭痛の前兆

片頭痛は、「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」の2タイプに分けられ、前兆のある人は20~30%といわれています1)
前兆のある片頭痛では、頭痛が起こる前に、いくつかの前兆がみられます。90%以上にキラキラした光が見えたり、視野の一部が見えにくくなったりする視覚性前兆が認められるといわれており、その代表が閃輝暗点(せんきあんてん)です2)。そのほか、感覚が鈍くなる感覚異常、言葉が話しにくくなる失語性言語障害を生じることもあります。
このような前兆は5~60分以内に消失し、続いて頭痛が始まります2)

閃輝暗点(せんきあんてん)とは?

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視野にギザギザした稲妻様の光(閃輝)が現れ、これが次第に拡大していきます。その後、視覚消失(暗点)が現れ、やがて頭痛が始まります。これを閃輝暗点といいます。

日本頭痛学会「慢性頭痛の診療ガイドライン市民版」作成小委員会 編:慢性頭痛の診療ガイドライン 市民版 医学書院:44, 2014

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片頭痛の分類

頭痛の国際的な診断基準である国際頭痛分類第3版beta版(ICHD-3β)では、片頭痛は「前兆」の有無により、「前兆のない片頭痛」と「前兆のある片頭痛」に大別されています。

前兆のない片頭痛(ICHD-3β)

1.1 前兆のない片頭痛の診断基準
  1. A. B~D を満たす発作が5回以上ある
  2. B. 頭痛発作の持続時間は4~72 時間(未治療もしくは治療が無効の場合)
  3. C. 頭痛は以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
    1. 1. 片側性
    2. 2. 拍動性
    3. 3. 中等度~重度の頭痛
    4. 4. 日常的な動作(歩行や階段昇降など)により頭痛が増悪する、あるいは頭痛のために日常的な動作を避ける
  4. D. 頭痛発作中に少なくとも以下の1項目を満たす
    1. 1. 悪心または嘔吐(あるいはその両方)
    2. 2. 光過敏および音過敏
  5. E. ほかに最適なICHD-3の診断がない

日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版 beta版 医学書院:2, 2014

前兆のある片頭痛(ICHD-3β)

1.2 前兆のある片頭痛の診断基準
  1. A. BおよびCを満たす発作が2回以上ある
  2. B. 以下の完全可逆性前兆症状が1つ以上ある
    1. 1. 視覚症状
    2. 2. 感覚症状
    3. 3. 言語症状
    4. 4. 運動症状
    5. 5. 脳幹症状
    6. 6. 網膜症状
  3. C. 以下の4つの特徴の少なくとも2項目を満たす
    1. 1. 少なくとも1つの前兆症状は5分以上かけて徐々に進展するか、または2つ以上の前兆が引き続き生じる(あるいはその両方)
    2. 2. それぞれの前兆症状は5~60分持続する
    3. 3. 少なくとも1つの前兆症状は片側性である
    4. 4. 前兆に伴って、あるいは前兆発現後60分以内に頭痛が発現する
  4. D. ほかに最適なICHD-3の診断がない、また、一過性脳虚血発作が除外されている

日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版 beta版 医学書院:2, 2014

慢性片頭痛とは?

ときどき起こっていた片頭痛が慢性化して、毎日のように起こるようになり、一部の片頭痛が典型的な症状を示さない頭痛を「慢性片頭痛」といいます。
片頭痛あるいは緊張型頭痛の特徴を示す頭痛が月に15日以上起こり、そのうち月に8日以上は、片頭痛の特徴を示すことが診断の基準になります2)。急性期治療薬(鎮痛薬など)の飲み過ぎも関係しているといわれており、痛いからと安易に急性期治療薬を飲み過ぎると、脳の痛み調節機能が低下し痛みに敏感になり、悪循環に陥ってしまいます。慢性片頭痛の半数は、急性期治療薬の飲み過ぎによって起こる頭痛「薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)」だといわれています。

慢性片頭痛の主な特徴

どのくらいの頻度で起こるの?
  • 頭痛が月に15日以上(そのうち月に8日以上は、片頭痛の特徴を示す)

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頭痛専門医からのメッセージ

片頭痛は、いったん治まると痛みはウソのように消えてしまい、ふだんは何の症状もありません。そのため、頭痛のときだけ市販の鎮痛薬を飲んで、我慢してしまう人も少なくありません。うまくコントロールできていれば問題ありませんが、(1)頭痛が頻回、(2)市販の鎮痛薬が効かない、(3)毎日のように鎮痛薬を服用している、(4)頭痛のために寝込んでしまうなど、日常生活に支障がある場合は、医師に相談するようにしましょう。

  • 1)Sakai, F. et al.:Cephalalgia 17(1):15, 1997
  • 2)日本頭痛学会・国際頭痛分類委員会 訳:国際頭痛分類 第3版 beta版 医学書院:2, 2014