片頭痛の治療と予防

トリプタン系薬剤と服用タイミング

 

頭痛に対する治療薬のなかでも、市販の鎮痛薬はすでに起こってしまった炎症を抑える働きが主なのに対し、トリプタン系薬剤は炎症を抑えるだけでなく、脳の血管と神経(三叉神経)に作用し、片頭痛の根本的な原因をピンポイントで抑える、片頭痛に特異的な治療薬です。上手に使えば市販の鎮痛薬では効果がなかった頭痛を改善することができます。

トリプタン系薬剤とは

片頭痛が起こるしくみ」にもあるように、脳血管の拡張により血管の周囲を取り巻く三叉神経が刺激を受けると、神経ペプチドと呼ばれる「痛みの原因となる物質」が放出されます。すると、血管の周りに炎症が起こり、それがさらに血管拡張を促し、三叉神経への刺激を高め、その刺激が大脳に伝わることで、片頭痛の症状があらわれます。
トリプタン系薬剤は、主に3つの作用があり、この痛みを引き起こす根源である血管と三叉神経の両方に作用します。脳の血管に作用して、拡がりすぎた脳の血管を元に戻し、また、三叉神経からの神経ペプチドの放出を抑え込みます。さらに、三叉神経が受けた刺激の情報が大脳に伝達されるのをブロックすることで、片頭痛だけでなく、吐き気や嘔吐、光過敏・音過敏などの症状も抑えます。

トリプタン系薬剤の種類

現在、日本で使用できるトリプタン系薬剤は5種類で、その剤形には、錠剤、口腔内速溶/崩壊錠、点鼻薬、注射薬があります。
錠剤は、もっとも身近で、飲み薬の基本となる剤形です。口腔内速溶/崩壊錠は、水なしで飲むことができますが、苦味を感じることもあるようです。また、口の中で溶けやすくするために、構造が持ち歩く際に壊れやすいので、専用のケースに入れて持ち歩くことも多いようです。ただし、口の中で溶けますが、主に吸収は腸でされるので、効果があらわれる速さは錠剤と変わりません。点鼻薬は、吐き気がひどく、薬を吐いてしまう場合にも使うことができます。注射薬は即効性があり効果も確実ですが、発作時に医療機関にかかるか、自己注射の場合は事前にトレーニングが必要となります。
頭痛のタイプやライフスタイルに合った剤形を、先生と相談してみるとよいでしょう。

トリプタン系薬剤の適切な服用タイミング

トリプタン系薬剤は、前兆期に服用しても効果は期待できません。トリプタン系薬剤は、頭痛が始まり、それが片頭痛の痛みであると確信した「軽度」のうちに服用すると高い効果が得られます。片頭痛がひどくなってからではアロディニア(通常なら痛みを感じない程度の刺激でも痛みを感じる現象)という症状があらわれ、薬剤の効果が十分には発揮されません。
また、トリプタン系薬剤でも、飲み過ぎると薬剤の使用過多による頭痛(薬物乱用頭痛)の原因となりますので注意が必要です。大事な会議で頭痛が起こると困るからと早めに服用したり、逆にお守り代わりにしてつらくなるまで我慢したりしないで、片頭痛と確信したそのときに適切なタイミングで服用しましょう。このタイミングをつかむために頭痛ダイアリーを活用するとよいでしょう。自分にとっての適切な服用タイミングがつかめない場合は医師や薬剤師に相談し、自分に合った適切なタイミングをみつけましょう。

トリプタン系薬剤の適切な服用タイミング

イメージ図 トリプタン系薬剤の適切な服用タイミング イメージ図 トリプタン系薬剤の適切な服用タイミング

*「片頭痛と確信したそのときに」は、ご自身の頭痛パターンを理解して、タイミングを体得していく必要があります。

例:おじぎをすると頭痛がひどくなる
  首をふると頭痛がひどくなる など

妊娠中・授乳中の服用について

妊娠中・授乳中に片頭痛発作が起きた場合の薬の服用については、必ず医師に相談してください。また、授乳期間中にトリプタン系薬剤を服用した場合は、いったん搾乳し、24時間経過してから授乳してください。